『仁王2』感想レビュー。一流のハクスラと三流のアクション

どうも、個人ゲーム開発者のゆみねこです。
仁王2をひとしきり遊んだので、レビュー記事を書きたいと思います。

総評

非常に面白く、非常に腹立たしいゲーム

過剰なまでのストレス要素の先にあるのは、別段すばらしいカタルシスではない。にも関わらず、なぜか続けたくなる中毒性に満ちた作品。

良かったところ

  • 自由度の高いビルドと、快適なハクスラ
  • 爽快感あふれる、インフレの激しい成長要素
  • 快適に楽しめるオンライン要素

残念なところ

  • 前作より輪をかけて酷い、極端な難易度調整
  • 説得力に欠ける被弾に満ちた、理不尽なアクション
  • 良くも悪くも前作から代わり映えのしないプレイフィール

アクション要素

残念極まる理不尽な難易度

仁王2のアクション要素は、残念ながら前作以上に理不尽でした。

3種類のカウンターや、全ての妖怪の技を入手して使えるなど、一見すると意欲的な進化を遂げたように見えます。
しかし、どちらもアクションとして成熟されたとは言いがたいです。

直感的でないカウンター

妖怪ごとに著しいディレイがあったり、逆に超人的な反応速度を要求されたりと、タイミングをあわせる要素とは思えないバランスでした。

しかも、カウンターできるのはごく一部の技のみです。

本作は被弾のリスクがとても高く、推奨レベルで挑むと3発食らっただけで死亡してもおかしくないほどです。
そこまでのリスクを背負い込み、およそ直感的ではないタイミング合わせにやっと成功したところで、そのリスクに応じたリターンがあるわけでもありません。

はっきり言って、封印してもさして困らない要素です。

理不尽極まる接近戦

にわかに信じがたいことを言いますが、ほとんどの敵は、カウンターも防御もできず、フレーム回避も困難な上に大ダメージを与えてくる投げ技をもっています。

この投げ技の威力は尋常なものではなく、アプデで緩和されるまではこれを食らうだけで8割は持っていかれるほどでした。

この投げ技、威力もさることながら、

  • 全方位に長時間当たり判定が発生するろくろ首
  • ほぼ真後ろまで軸合わせしてくる猿鬼
  • 発生が速すぎてほぼ間に合わない妖鬼
  • ダウン復帰直後に何の前触れもなく掴みかかってくる骸武者

と、当たり判定や発生速度もえげつなく、接近戦を維持するなら食らうことが前提なバランスです。
せいぜい、投げ技が来る前に火力で倒しきれることを祈るか、技の合間にちょこちょこ殴っては離脱を繰り返すかになります。

大ダメージ技なら、もらわないための対処を用意する。
被弾前提な技なら、威力を下げる。
アクションゲームなら当然といえる作法が仁王2には存在せず、とりあえず両者の悪いとこ取りをしただけの雑な技が、ほぼ全ての敵に存在します。

いいかげんすぎる遠距離技

では、距離をとってはどうかというと、これは前作ですら良心的だったものを潰しにかかる調整となっています。

かんたんに言うと、

  • 遠距離攻撃をしかける敵が配置されすぎ
  • ほとんどが一発でたどりつけない高所にいる
  • こちらから狙撃する暇すらないほどひっきりなしに撃ってくる

最後に関しては、気づかれる前に事前に潰しておけということなんですが、問題は敵が多すぎること。
乱戦を強いられる場所ならほぼ確実に存在するので、対処法の少なさも含め、あまりにワンパターン過ぎて飽きてきます。

近づいたら近づいたで、先ほど書いた理不尽な接近戦が待っています。
さっき「ほぼ全ての敵に理不尽な投げ技がある」と書きましたが、遠距離技が強い敵も例外ではありませんからね。

大砲を撃ってくる敵がいたとします。一発食らうたびに大きくダウンします。起き上がった頃には目前まで次の弾が迫っているので、フレーム回避を余儀なくされます(ガードするとスタミナ削りがエグいので)。やっと近づいて接近戦を挑んだら、待ってましたとばかりに俊敏なバクステをかましながら二刀を構え、まともな人間では間に合わない速さの投げを仕掛けてきます。

そんなんばっかです。
飛び道具を持つ敵は接近戦が弱いだろうという常識すら、仁王2には通用しません。

「頑強なガードとタイミング合わせが困難なカウンター技を持ち、投げ技は大ダメージ&スリップダメージ確定」
この性能を聞いて、遠距離主体な敵だと誰が思うでしょうか。外道兵という敵ですが、たしかにアクションとして外道です。

選択の楽しみがない妖怪技

カウンターの他にもうひとつ新要素として妖怪技があります。
全ての妖怪から個別アイテムがドロップし、装備するとその妖怪の技が使えるというものです。

こちらは別にストレスこそありませんでしたが、妖怪技ごとの強弱があまりに激しかった……というか、ごく一部の妖怪技が強すぎて、オンラインではほぼ全員が同じ技しか使っていませんでした。

具体的に言うと、夜刀神とラスボスです。特に夜刀神は、あらゆる状況でこれ一つで通用するほど強いです。
ラスボス技は単に威力が文字通り桁違いに高く、2周目の後半を除きぶっ放せばボスが瞬殺で溶けるほどでした。

極端すぎるインフレは仁王の魅力ではありますが、用意されたバリエーションの多さに反して取捨選択の楽しみはなかったです。
ぶっ放すだけで事が終わる救済措置としてはありがたいですが、新要素として期待していた人には、単なる収集要素でしかなかったのが残念でした。

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ハクスラ・ビルド要素

前作同様に面白い装備集め

装備集めの面白さは、前作から変わらず健在でした。

他プレイヤーが死亡した印である「血刀塚」を調べて、NPC操作の敵プレイヤーと戦う。
慣れたステージを何度も繰り返して製法書やレア装備を狙う。

悪く言えば作業感が強いですが、作業なくしてハクスラとは言えません。地道な作業を繰り返すほどに(ステータス的に)強くなっていく感覚は、ソウル本家でも得られない楽しさです。

ただ裏を返すと、前作からさほど代わり映えのしない要素でもあります。前作ですでに完成されていた要素だと思っているので、個人的にはそれで構わなかったのですが。

自由度の高いビルド

武器選びやステ振りといったビルドの多様性は、前作より幅が増えて楽しくなりました。

手斧だけはどうしようもないほどに弱いとか、薙刀と斧が優遇されているといった差はありますが、効率化を求めない限りは好きな武器を使い、ステ振りを楽しむことができます。

スタミナ回復量や、重い装備を着込むためのパラメータもステ振りで上がっていくため、中盤まではどれを優先して育てていくか悩ましく、人によって個性が現れるポイントではないかなと思います。

もっとも、インフレが極まる終盤~2周目や、効率を求めた最強ビルドとなると明確な正解が存在するため自由度がありませんが、それはもうこの手のゲームの宿命でしょうね。

探索要素

相変わらず残念なマップデザイン

本作にはジャンプがないため、どうしても平坦に引き伸ばされたマップになりがちです。

また、SEKIROは広い空間に適度に障害物があり、それを乗り越えるのか迂回するのかいくつもの選択肢があり、同じエリアでも複数の突破口が合ったのに対し、仁王2のマップはただの迷路です。

要するに、正解の一本道を探して行き止まりに何度もぶち当たる構造になっており、塞がれている道やドアが非常に多いので、屋外であっても閉鎖感が強く息が詰まります。

奈落だらけの即死マップ

また、ちょっと足を滑らせれば即死するような奈落が相変わらず多く、死因の半分が転落死という方も多いのではないかと思います(残り半分は唐突な投げ技)。終盤のマップなんて、レインボーロードかよと言いたくなるほど落ちまくります。

やらされている感とまでは言いすぎにしても、探索していて楽しいものではありませんでした。特に、転落死の多さに関しては前作で散々言われ尽くしてきたのに、どうして学ばなかったんだろうなとため息が出ました。

まとめ

確かに死にますが、どっからどう見てもこれは難しいゲームではなく、ただひたすらに理不尽なゲームです。

なにやら記事を漁ると上質だとか奥が深いといった褒め方をするものが多いですが、自分には全く共感ができません。
一応、2周目のラスボスまで倒し、プラチナトロフィーも取っているので、エアプで物を語っているつもりもないんですが。
特に意味不明なのが「ソウルシリーズ本家」と比較して「ソウルシリーズ好きにはおすすめ」とか言っているやつですね。

確かに仁王のルーツはソウルですし、「戦国死にゲー」という表現は(誤解こそあれど)間違ってはいません。仁王には仁王の面白さがあります。

が、それは間違ってもソウル本家のそれと比較できたものではないです。仁王にあるのはソウル本家にないハクスラ要素としての面白さであって、正直アクションとしても死にゲーとしても全くの別物です。

ソウル本家は「納得のいく死を繰り返しながら学習と成長で乗り越え達成感を味わうゲーム」で、仁王は「納得のいかない死への苛立ちをハクスラのモチベーションへ変え、全てが整ったらインフレで敵をボコボコに叩きのめして爽快感を味わうゲーム」です。

ソウルは嫌いだけど仁王は好きという人も、ソウルは好きだけど仁王は嫌いという人も知っています。ぼくはどっちも好きですが、それでも両者を一緒くたに語る分からず屋は大嫌いです。

話が逸れましたが、総評すると良い点も悪い点も仁王らしいゲームです。

前作にあった良さは、そのまま本作へ継承されています。その反面、極端すぎるバランスはより一層極端になって本作へ引きずられました。

巷でよく言われる仁王1.5という表現は、自分は言い得て妙だなと思います。前作から代わり映えしない、DLC感覚のプレイ体験という意味です。

実際、仁王2の人口はそこまで振るっていません。開発自身、前作のファンを納得させることには成功したものの、新規の呼び込みには失敗したと思っているようです。

抜本的な改善は見られず、前作で築き上げた成功の中で小さな改善に留まった作品だな、という印象でした。

不思議ですよね、敵もマップもほとんど新調されているのに、ここまでプレイ体験にマンネリが伴うというのも。

このまま仁王は理不尽なハクスラを続けるのか、死にゲーとして一段上へと進化したSEKIROのようになにか根本からひっくり返してくるのか。転換期に立たされたなと思わされます。

ゲームそのものとしては、前作を楽しめたなら今作も楽しいでしょう。
理不尽なストレス要素がこれでもかと押し寄せてきますが、それを補ってあまりある中毒性もまた健在です。

手放しで褒めている人は……賄賂でももらったか、ドMかのどっちかでしょう。多分。文句のひとつもなしにこのゲームを楽しめるって、相当鍛えられてますよ。

気になった方はぜひ、本作を手にとっていただき、ムキになって呪詛を吐き連ねながらハマってほしいと思います。
精神的に余裕がない方は、やめておいたほうがいいです。ハゲます。

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